「社会人経験がまだ短い自分に、転職市場での価値はあるんだろうか」——第二新卒で転職を考え始めたとき、多くの方が最初にぶつかる不安です。

先に結論をお伝えすると、第二新卒にも市場価値はあり、「低い」と決めつける必要はありません。ただし評価は一律ではなく、前職で取り組んだことの中身、身につけたスキル、転職理由の納得感、そしてどの職種・企業に応募するかによって変わります。 同じ経歴でも、企業が第二新卒に期待しているポイントを押さえて伝えられるかどうかで、見られ方は大きく変わります。

この記事では、企業が第二新卒のどこを見ているのか、社会人1〜3年目で見られやすい点の違い、自分の市場価値を確かめる具体的な方法、そして今の職場で市場価値を高めるためにできることを順番に整理します。

第二新卒の市場価値は「低い」とは限らない

第二新卒の採用を実施している企業は多い

マイナビキャリアリサーチLabが公表した「企業人材ニーズ調査2025年版」では、第二新卒採用を「実施している」と答えた企業は60.9%でした(同調査では、第二新卒を「学校を卒業しておおむね3年以内の就労経験者」と定義しています)。

第二新卒の採用は一部の企業だけのものではなく、多くの企業が採用の選択肢として取り入れていることが分かります。

出典:マイナビキャリアリサーチLab「『とりあえず3年』今は昔?熱を帯びる第二新卒採用」

「市場価値」は経歴だけで決まるものではない

転職市場でいう市場価値とは、ざっくり言えば「企業から見て、その人を採用したいと思える度合い」のことです。

経験豊富な中途人材であれば、専門スキルや実績が市場価値の中心になります。一方で第二新卒の場合、企業は即戦力としての実績よりも、社会人としての基礎と、これからの伸びしろをあわせて見ています。

つまり、「実績が少ない=市場価値がない」ではありません。第二新卒には、第二新卒なりの評価のされ方があるということです。

企業が第二新卒を見る5つのポイント

先ほどの調査では、第二新卒を採用するうえで重視する内容として「人柄・性格」がもっとも多く挙がり、「専門知識・スキル」「実務経験」などを大きく上回っていました。これを踏まえると、企業は主に次の5つを見ていると考えられます。

年齢

第二新卒には法律で決まった年齢制限はありません。ただ、企業が「若手として育てていきたい」という前提で採用している場合、年齢は応募条件や判断材料の一つになることがあります。

「自分はまだ第二新卒に当てはまるのか」が気になる方は、第二新卒とは?何歳まで?転職を考える前に知っておきたい基礎知識 で一般的な目安を整理しています。

社会人経験

第二新卒の強みは、短期間でも社会人として働いた経験があることです。企業によっては、ビジネスマナーや報告・連絡・相談といった基本が身についている点を評価します。

大きな成果でなくても、「どんな業務を任され、どう取り組んだか」を具体的に話せれば、十分な評価材料になります。

ポテンシャル

経験が浅い分、企業は「入社後にどれだけ伸びそうか」を見ています。素直に学ぶ姿勢、新しい環境への適応力、前職で工夫したことなどが判断材料になります。

転職理由

第二新卒の採用で、企業が特に気にしやすいのが転職理由です。「また短期間で辞めてしまわないか」という点は、多くの採用担当者が確認したいポイントだからです。

前職の不満をそのまま伝えるのではなく、「何が合わなかったのか」「次の職場で何を実現したいのか」まで整理できていれば、むしろ評価につながります。伝え方は 第二新卒の転職理由はどう伝える?面接で整理したい考え方と例 で詳しく解説しています。

短期離職への懸念は、調査結果にも表れています。エン・ジャパンが採用支援サービス『engage』の利用企業300社に行ったアンケート(2024年6〜7月実施)では、第二新卒の中途採用で「前職の勤続期間」を重視すると答えた企業が64%あり、その理由として最も多かったのは「再離職のリスクが高いから」(83%)でした。ただし、これは同サービスを利用する企業への調査で、すべての企業に当てはまるとは限りません。勤続期間そのものは変えられないため、「なぜ辞めるのか」「次は何を軸に長く働きたいのか」を説明できるようにしておくことが現実的な対策になります。

出典:エン・ジャパン「『若手人材の採用』に関する意識調査―『engage』企業アンケート―」

今後の成長性

企業は「この人が入社後にどんなキャリアを描いているか」も見ています。将来のキャリアを完璧に決めておく必要はありませんが、応募先の仕事を通じて何を身につけたいのかを自分の言葉で話せると、成長性が伝わりやすくなります。

市場価値が高く見られやすい第二新卒の特徴

次のような特徴がある人は、企業から評価されやすい傾向があります。

  • 前職での経験を具体的に説明できる:任された業務、工夫したこと、周囲から頼られたことを話せる
  • 転職理由と志望理由がつながっている:「前職で感じた課題」と「応募先で実現したいこと」が一貫している
  • 学ぶ姿勢がある:未経験の分野でも、自分から調べたり学んだりしていることを示せる
  • 社会人としての基本が身についている:言葉遣いややり取りの丁寧さなど、面接の場で自然に伝わる部分も含まれる

どれも特別な実績が必要なものではありません。「自分には何もない」と感じている方でも、経験を振り返って言葉にすることで、評価されるポイントは見つかります。書き出し方は 第二新卒で実績がない…自己PRに書けることを見つける4ステップ が参考になります。

市場価値が低く見られやすいケース

反対に、次のような状態だと、本来の価値より低く見られてしまうことがあります。いずれも準備で改善できるものです。

低く見られやすいケース 企業が感じやすいこと 対策
転職理由が前職への不満だけになっている 次の職場でも同じ理由で辞めるのでは 不満を「次の会社で重視したい条件」に言い換える
前職で何をしていたか説明できない 経験から何を学んだのか見えない 担当業務と工夫したことを具体的に書き出す
応募先を選んだ理由があいまい どの会社でもよいのでは 求人内容と自分の希望が重なる点を整理する
短期間で何度も転職を繰り返している 定着してくれるか不安 それぞれの経緯と、今回は長く働きたい理由を説明できるようにする

市場価値は「今の自分の経歴」だけでなく、「その経歴をどう説明するか」でも変わります。低く見られやすいケースに当てはまっても、必要以上に落ち込まず、一つずつ整理していけば十分に挽回できます。

社会人1年目・2年目・3年目で見られやすい点の違い

第二新卒の中でも、社会人経験の長さによって、伝えやすい材料や確認されやすい点は少しずつ変わります。ただし、年数だけで有利・不利が決まるわけではなく、応募する職種や企業の採用方針によっても見られ方は異なります。あくまで準備の目安として参考にしてください。

社会人1年目(勤続1年未満)

  • 伝えやすい材料:研修や配属後に学んだこと、基本的なビジネスマナー、新しい環境への適応
  • 確認されやすい点:なぜ早期に転職を考えたのか、次も早く辞めてしまわないか
  • 準備しておきたいこと:辞める理由と、次の職場で重視したい条件を前向きな言葉で説明できるようにする

社会人2年目

  • 伝えやすい材料:一人で任された業務、仕事の進め方で工夫したこと
  • 確認されやすい点:経験を次の仕事にどう活かすか、転職理由と志望理由のつながり
  • 準備しておきたいこと:担当業務・工夫・結果を具体的に書き出し、応募先の仕事との共通点を探す

社会人3年目

  • 伝えやすい材料:担当業務での成果、後輩指導や改善提案など一歩進んだ役割
  • 確認されやすい点:同じ職種なら即戦力に近い力があるか、未経験の職種ならなぜ今挑戦するのか
  • 準備しておきたいこと:成果を事実や数字で示せるよう整理し、経験者採用と第二新卒採用のどちらの枠で応募するかも考える

前述のエン・ジャパンの調査では、第二新卒を採用する際に懸念になりうる勤続期間として「1年未満」を挙げた企業が63%でした。1年目で転職を考えている場合は、転職理由の説明により丁寧に向き合っておくと安心です。一方で、1年目でも心身の負担が大きい場合などは、年数より自分の状況を優先して判断することが大切です。

自分の市場価値を確認する3つの方法

ここまで一般的な傾向を紹介してきましたが、実際の自分の市場価値は、転職市場に触れてみないと分かりません。確認する方法は主に3つあります。

方法 分かること 手軽さ
求人を見る どんな条件の求人に応募できそうか 今すぐできる
診断サービスやスカウトを参考にする 自分の傾向や、企業側から見た経歴への関心 登録が必要
転職エージェントに相談する 自分の経歴で紹介される求人と、プロから見た評価 面談が必要

求人を見る

もっとも手軽なのは、求人サイトで「第二新卒歓迎」「未経験歓迎」などの求人を実際に見てみることです。応募条件や仕事内容を見ていくと、今の自分の経歴で応募できそうな求人がどのくらいあるのか、おおよその感覚がつかめます。

なんとなく眺めるだけでなく、次の手順で確認すると、自分の状況を具体的に把握しやすくなります。

  1. 希望する職種の求人を3〜5件選ぶ
  2. 各求人の「必須条件」と「歓迎条件」を書き出す
  3. それぞれの条件について、自分の経験で「満たしている」「一部満たしている」「満たしていない」に分ける
  4. 満たしていない条件のうち、入社前に準備できるもの(資格の勉強、基礎知識の習得など)と、入社後に経験を積むしかないものを分ける

必須条件の多くを満たしていれば、その職種では今の経歴を評価してもらえる可能性があります。満たしていない条件が多い場合は、応募先の選び方や、伝え方・準備の仕方を見直すきっかけになります。

診断サービスやスカウトを参考にする

転職サイトの中には、適性や強みを確認できる診断サービスや、経歴を登録しておくと企業や転職エージェントからスカウトが届く仕組みを用意しているものがあります。診断結果は自分の傾向を考える材料に、どんな業界・職種からスカウトが来るかは、企業側が自分の経歴のどこに関心を持っているのかを知る手がかりになります。

ただし、診断結果やスカウトは、採用や年収を約束するものではありません。スカウトが届いても選考は通常どおり行われるため、あくまで参考情報の一つとして受け止めましょう。

転職エージェントに相談する

自分一人では判断しにくい場合は、転職エージェントに相談する方法もあります。自分の経歴でどんな求人を紹介されるかを確認すると、市場価値の目安をつかみやすくなります。

第二新卒・既卒向けのサポートに力を入れているサービスもあり、経歴の整理や応募書類の相談に対応してもらえる場合があります。相談したからといって、すぐに転職しなければならないわけではありません。

市場価値を高めるために今の職場でできること

市場価値は、特別な資格や大きな実績がなくても、日々の仕事の進め方と振り返り方で高めていくことができます。転職するかどうかを決める前から、次のような行動を始めておくと、どちらを選んでも役に立ちます。

  1. 担当業務を棚卸しする:これまで担当した業務を書き出し、「何を」「なぜ」「どのように」取り組み、「どうなったか」を整理します。
  2. 工夫や改善を事実で記録する:作業時間を短くした、ミスを減らした、問い合わせに早く対応できるようにしたなど、小さな改善でも、事実や数字で説明できるように残しておきます。
  3. 経験を言葉にする:棚卸しした内容を、応募書類や面接で話せる短い文章にまとめます。第三者に読んでもらい、伝わるかを確認するのも有効です。
  4. 希望職種とのギャップを確認して埋める:前述の「求人を見る」手順で見つかった不足を、学習や今の業務での経験で少しずつ埋めていきます。

未経験の職種に挑戦したい場合は、前職の経験のうち応募先でも活かせる部分を見つけることが大切です。考え方は 第二新卒から未経験職種へ転職できる?検討しやすい仕事と転職方法 で詳しく整理しています。

市場価値を上げてから転職するべき?

「もう少し経験を積んで、市場価値を上げてから転職した方がいいのでは」と迷う方も多いと思います。これはどちらが正解というより、今の状況によって判断が変わります。

今の職場で経験を積む方が向いているケース

  • 仕事内容自体には納得していて、身につけたいスキルが今の職場で得られる
  • 転職したい理由が、まだ自分の中で整理できていない

早めに動き出してもよいケース

  • 心身の負担が大きく、働き続けることが難しい
  • 今の職場では、自分が目指す方向の経験を積めないことがはっきりしている

迷っている段階なら、在職中に求人を見たり相談したりして、情報を集めるところから始めるのがおすすめです。転職するかどうかは、市場の状況と自分の希望を照らし合わせてから決めても遅くありません。入社して間もない時期に辞めるかどうか迷っている方は、退職前に整理しておきたいことをまとめた記事 もあわせてご覧ください。

第二新卒の市場価値に関するよくある質問

Q. 社会人経験がかなり短くても、第二新卒として評価されますか?

A. 社会人経験の長さだけで評価が決まるわけではありません。経験が短くても、その期間に取り組んだことや、転職を考えた理由と次にやりたいことを整理して伝えられれば、評価される可能性は十分にあります。

Q. 未経験の職種に挑戦すると市場価値は下がりますか?

A. 未経験の職種では前職の経験をそのまま活かしにくい分、ポテンシャルや学ぶ姿勢がより重視されやすくなります。「なぜその職種に挑戦したいのか」を具体的に説明できるかが大切です。

Q. 市場価値を確認するために、転職エージェントに登録してもいいですか?

A. 問題ありません。まだ情報収集の段階であれば、その旨を担当者に伝えたうえで相談できます。サービスごとに対象者やサポート内容は異なるため、事前に確認しておくと安心です。

Q. 第二新卒の時期を過ぎると市場価値はなくなりますか?

A. 第二新卒という呼び方が当てはまらなくなっても、市場価値がなくなるわけではありません。その時点での経験やスキルをもとに、中途採用として評価されることになります。

まとめ

  • 第二新卒の採用を実施している企業は多く、第二新卒の市場価値は「低い」と決めつける必要はない
  • 企業は実績よりも、人柄・社会人としての基礎・転職理由・今後の成長性をあわせて見ている
  • 市場価値は「経歴」だけでなく「その経歴をどう説明するか」でも変わる
  • 社会人1〜3年目で見られやすい点は異なるが、年数だけで有利・不利が決まるわけではない
  • 自分の市場価値は、求人の要件と照らし合わせる・診断サービスやスカウトを参考にする・転職エージェントに相談することで確認できる
  • 業務の棚卸しや経験の言語化など、今の職場でも市場価値を高める行動は始められる

まずは自分の経験を整理し、実際にどんな求人があるのかを見てみるところから始めてみてください。

第二新卒向けの転職エージェントを比較して選びたい方は、第二新卒におすすめの転職エージェントを比較|失敗しない選び方も解説 で、対象者やサポート体制の違いを整理しています。